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SAP ERPとは、世界最大のソフトウェア企業であるSAP社が提供する統合基幹業務システムです。
SAP ERPは、財務、人事、生産、物流などの企業のあらゆる業務を一元的に管理し、効率化や最適化を図ることができます。
しかし、SAP ERPは高度で複雑なシステムであり、導入や運用には多くの課題やコストが伴います。
本記事では、SAP ERPの導入メリットとデメリットについて、2027年問題について徹底解説します。
SAP ERPを導入するかどうか検討している企業や担当者の方はぜひ参考にしてください。
1 SAP ERPとは!?
1.1. SAPとERPの違いや特徴
SAP ERPとは、世界最大のソフトウェア企業であるSAP社が提供する統合基幹業務システムです。
SAP ERPは、財務、人事、生産、物流などの企業のあらゆる業務を一元的に管理し、効率化や最適化を図ることができます。
しかし、SAP ERPは高度で複雑なシステムであり、導入や運用には多くの課題やコストが伴います。
本記事では、SAP ERPの導入メリットとデメリットについて、2027年問題について徹底解説します。
SAP ERPを導入するかどうか検討している企業や担当者の方はぜひ参考にしてください。
1.2. ERPについて
ERPとは、Enterprise Resource Planningの略で、企業の資源を効率的に計画・管理するためのシステムです。
ERPは、財務、会計、人事、給与、在庫、生産、販売、購買などの様々な業務を統合的に管理することで、業務の効率化、品質の向上、コストの削減、顧客満足度の向上などのメリットを提供します。
ERPは、クラウド型やオンプレミス型などの様々な形態で提供されており、企業の規模やニーズに応じて選択することができます。
導入には、事前の要件定義や業務プロセスの見直し、データ移行やカスタマイズなどの工程が必要であり、時間やコストがかかる場合もありますが、導入後は業務の効率化や競争力の強化につながります。
1.3. ERPの種類
ERPには、さまざまな種類がありますが、大きく分けて以下の3つに分類できます。
・オンプレミス型
オンプレミス型ERPは、企業が自社内で情報システムを構築し、運用することを指します。
オンプレミス型ERPのメリットは、情報システムを自由にカスタマイズできること、ネットワークであるのでセキュリティ対策が万全であることなどが挙げられます。
一方デメリットは、初期費用が高額であることや、情報共有にかなり時間が掛かることが挙げられます。オンプレミス型ERPは導入から稼働までに数ヶ月から数年かかる場合があり、サーバや電子機器の設置にも時間を要することが、情報共有に時間がかる要因になっています。
・クラウド型
ERPシステムのうち、クラウド環境下で動作するシステムのことです。
クラウド型ERPは社内サーバーの設置が不要であり、拡張性や柔軟性に優れているというメリットがあります。近年、これらのメリットが知られるようになり、ERP導入においてもクラウド型のシステムを選択するケースが増えています。
また、オンプレミス型のERPよりも短期間かつ低コストで導入でき、メンテナンスが不要などメリットが多く、中小企業でも需要が高まっています。
・ハイブリッド型
ハイブリッド型ERPは、オンプレミス型ERPとクラウド型ERPの両方の特徴を持ったERPです。
オンプレミス型ERPと同様に、企業内で情報システムを構築し、運用することができます。またクラウド型ERPと同様に、インターネットを通じて情報システムにアクセスすることができます。
例えば、オンプレミス型ERPのように情報システムを自由にカスタマイズすることができる一方で、クラウド型ERPのように導入コストを抑えることができます。
また、クラウド型ERPのようにインターネットを通じて情報システムにアクセスすることができるため、場所や時間を問わず情報共有が可能です。
以上のように、ERPの種類にはそれぞれメリットとデメリットがあります。自社の業務内容やニーズに合わせて、最適なERPを選択することが重要です。
2 SAP ERPのモジュール
SAP ERPのモジュールとは、SAP ERPの機能を分類したものです。
SAP ERPは、会社のさまざまな業務を統合的に管理することができるソフトウェアですが、その業務は多岐にわたります。
財務や人事や生産など、業務の種類ごとにモジュールという単位に分けています。モジュールごとに、必要な機能や操作が用意されています。
また、モジュール間は連携しており、データや情報の共有ができます。SAP ERPモジュールは、会社のニーズや規模に応じて選択したり、カスタマイズしたりすることができます。
SAP ERPは、以下のようなモジュールから構成されています。
・FI(Financial Accounting)
財務会計を管理するモジュールです。財務諸表や帳簿や税務など、財務に関する基本的な業務を行えます。
・CO(Controlling)
管理会計を管理するモジュールです。原価計算や予算管理や利益分析など、財務に関する高度な業務を行えます。
・MM(Materials Management)
資材管理を管理するモジュールです。仕入れや在庫や発注など、資材に関するすべての業務を行えます。
・SD(Sales and Distribution)
販売管理を管理するモジュールです。見積もりや受注や請求など、販売に関するすべての業務を行えます。
・PP(Production Planning)
生産計画を管理するモジュールです。生産計画や工程管理や品質管理など、生産に関するすべての業務を行えます。
・PM(Plant Maintenance)
設備保全を管理するモジュールです。設備の点検や修理や予防保全など、設備に関するすべての業務を行えます。
・QM(Quality Management)
品質管理を管理するモジュールです。品質検査や品質保証や品質改善など、品質に関するすべての業務を行えます。
・PS(Project System)
プロジェクト管理を管理するモジュールです。プロジェクトの計画や実行やコントロールなど、プロジェクトに関するすべての業務を行えます。
3 SAP ERPのメリット
SAP ERPは、世界中の多くの企業が採用している信頼性が高いソフトウェアです。SAPは、40年以上にわたってERPの開発やサポートを行っており、最新の技術やビジネストレンドに対応したソリューションを提供しています。
またSAPは、世界各国の法令や規制にも準拠しており、業界や規模に応じてカスタマイズや拡張ができる柔軟性が高いソフトウェアです。
標準的な機能だけでなく、独自のニーズに合わせた機能やインターフェースを追加することができます。また、クラウドやオンプレミスなどの環境にも対応しています。
3.1. 業務効率の向上
SAP ERPは、財務、人事、生産、物流、販売などの各部門のデータを一元化し、リアルタイムに共有することで、業務のスピードや品質を向上させます。
また業務の標準化や自動化により、人的ミスや重複作業を減らし、コストや時間を節約できます。
3.2. 経営判断の支援
SAP ERPは、ビジネスインテリジェンス(BI)や分析ツールと連携し、企業のパフォーマンスや市場動向などの情報を可視化し、経営判断に役立てることができます。
またシミュレーションや予測機能により、将来のシナリオを検討し、戦略的な計画を立てることができます。
3.3. 拡張性と柔軟性の高さ
SAP ERPは、クラウドやオンプレミスなどの様々な環境に対応し、企業の規模や業種に応じてカスタマイズすることができます。
また、他のSAP製品やサードパーティ製品とも容易に連携し、企業のニーズに合わせて機能を拡張することができます。
4 SAP ERPのデメリット
SAP ERPは、世界で最も高いシェアを誇るERP製品ですが、導入にはデメリットもあります。SAP ERPのデメリットには次のようなものがあります。
4.1. 費用が高額
SAP ERPの導入には、システム構築費用やソフトウェアのライセンス費用などがかかります。
コストは企業の規模やアカウント数などによって異なりますが、初期費用で1,000万円以上かかる場合もあります。
また、初期費用以外にも、サーバー管理料金など固定費も必要です。費用を上回る効果が得られるか考慮した上で、導入を検討する必要があります。
4.2. 設定が複雑
SAP ERPは、機能が豊富である反面、設定が複雑な点がデメリットです。
特に、SAP ERPで高度な機能を使用したい場合には、専門知識が必要です。
SAP ERPのシステムは、ABAPと呼ばれる独自のプログラミング言語で記述されています。開発や運用を行うにあたって、ABAPを扱える専門性の高い人材が求められます。
5 SAP ERPサポート終了に伴う2027年問題と対応方法
SAP社のERP製品である「SAP ERP 6.0」は、2027年に公式のサポートが終了となる予定です。
サポート終了後にSAP ERP 6.0を使用することで想定される様々なリスクは、2027年問題と呼ばれています。
この問題は元々2025年にサポート終了予定でしたが、2020年に2回延長されました。すでに「SAP ERP 6.0」を導入している企業は、サポート終了への対応が必要です 。
5.1. SAP ERP 6.0を延長サポートに移行する
延長サポートへ移行するメリットは、現状のシステムを維持できることです。
SAP S/4HANAへの移行にはコストや期間がかかるため、延長サポートを利用することで、移行の準備や計画に余裕を持つことができます。また、SAP社は延長サポートの期限を2030年までとしていますが、さらに5年間の追加サポートを提供する可能性もあります。
延長サポートへ移行するデメリットは、サポート費用が高くなることと、将来的なイノベーションに乗り遅れることです。SAP社はSAP S/4HANAに注力しており、SAP ERP 6.0に対しては新しい機能や改善を提供しない可能性が高いです。
また、SAP ERP 6.0は古い技術で作られており、セキュリティやパフォーマンスの面で問題が発生するリスクもあります。
5.2. SAP S/4HANAに移行する
SAP S/4HANAに移行するということは、SAP社の最新のERP製品であるSAP S/4HANAにデータや業務プロセスを転送するということです。
SAP S/4HANAは、インメモリデータベースであるSAP HANAをベースにしており、高速な処理やリアルタイムな分析が可能です。また、ユーザーインターフェースや業務ロジックも刷新されており、よりシンプルで効率的な運用が期待できます。
SAP S/4HANAに移行するには、SAP S/4HANA Migration Cockpitというツールを使います1。このツールは、移行オブジェクトというものを使って、必要なデータを特定し、転送します。
移行オブジェクトとは、特定のビジネスオブジェクトのデータをSAP S/4HANAに移行する方法を記述したものです。移行オブジェクトには、ソースとターゲットの構造や関係性などの情報が含まれています。
5.3. SAP Business ByDesignに移行する
SAP Business ByDesignは、インターネットにつながったコンピューターやスマホから使えるソフトウェアです。
このソフトウェアは、お金の管理や商品の管理やお客さんとのやりとりなど、いろいろな仕事をまとめてできるようにしてくれます。またSAP社が作り、インターネット上に置いているので、自分たちでソフトウェアを買ったり、更新したりする必要がありません。SAP社が、いつも最新の状態にしてくれます。
このソフトウェアは、自分たちの会社に合わせてカスタマイズしたり、他のソフトウェアとつなげたりすることもできます。このソフトウェアは、世界中のいろいろな国の法律やルールにも対応しています。
5.4. SAP社以外のERPソフトウェアに移行する
SAP社以外にも、多くの企業がERPソフトウェアを提供しています。例えば、以下のようなものがあります。
・Oracle ERP Cloud(オラクル)
クラウド上で提供される統合型ERP。AIやIoTなどの最新技術を活用できる。
・Dynamics 365(マイクロソフト)
マイクロソフトの製品と連携できる統合型ERP。Office 365やAzureなどと統合できる。
・OBIC7(オービック)
中堅・中小企業向けの統合型ERP。業種別にカスタマイズされたテンプレートが用意されている。
・HUE(日立システムズ)
大規模企業向けの統合型ERP。日立グループのノウハウを活かした高品質なシステムを提供する。
・SuperStream-NX(日立ソリューションズ)
中堅・中小企業向けの統合型ERP。日立グループのノウハウを活かした高品質なシステムを提供する。
・JDL ERP(JDL)
中堅・中小企業向けの統合型ERP。販売・在庫・会計・人事・給与などの基幹業務をカバーする。
・ProActive E2(NEC)
大規模企業向けの統合型ERP。NECグループのノウハウを活かした高品質なシステムを提供する。
・GRANDIT(富士通)
大規模企業向けの統合型ERP。富士通グループのノウハウを活かした高品質なシステムを提供する。
・Works Applications(ワークスアプリケーションズ)
大規模企業向けの統合型ERP。AIやIoTなどの最新技術を提供する。
これらのERPソフトウェアは、それぞれ特徴や強みが異なります。例えば、Oracle ERP Cloudはクラウド型のERPであり、低コストで導入できることがメリットです。Dynamics 365はマイクロソフトの製品との連携が強みであり、Office 365やAzureなどと統合できます。
したがって、SAP社以外のERPを選択する際には、自社の業務やニーズに合ったものを比較検討する必要があります。
6 SAP ERPについて理解すればフリーランスのインフラエンジニアとして活躍できる
SAP ERPについてメリットやデメリット、2027年問題について紹介しました。
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監修者:コンセスコンサルティング株式会社 インターン生 薦田怜奈
2022年10月からコンセスコンサルティング株式会社でインターン生として、ホームページ記事の更新や新規記事の作成を行っている。
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