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掲載日 2022.09.22 / 更新日 2023.04.22

SAP認定コンサルタント資格とは?概要・おすすめ勉強方法・取得効果を徹底解説

SAP認定コンサルタント資格とは?概要・おすすめ勉強方法・取得効果を徹底解説

「SAP認定コンサルタント資格」は、SAP案件を獲得しやすくする大切な資格です。SAP案件を獲得する上では、過去のSAP案件の経験、対応できるモジュールの数、ITやプログラミングの知識などが重視されます。そこで必要なのがSAP認定コンサルタント資格です。多くのコンサルタントが1つは取得しているとも言われており、SAP案件のための名刺的な存在です。SAP以外のERP導入の経験があり、これからSAP案件を獲得したいと考えるなら、本資格の取得は良い入口になるでしょう。

本稿では、この資格の概要、取得方法、そして受けてみたいという声をネットから集めて紹介します。本稿に記載した金額や数値等は、2023年4月時点のものです。

1 SAP認定コンサルタント資格の概要

SAP認定コンサルタント資格とは、SAP社が提供する試験に合格することで取得できる資格です。資格は164種類あり、どれからでも取得できます。SAPシステムにおける、開発・保守・運用等に必要な知見やノウハウを有していると見なされます。ですからSAPを構築したい企業からは、期待できる人材と見なされます。
ただ資格がないとSAP関連の仕事ができない、というわけではありません。資格があった方が案件獲得に有利な程度に考えておくのが良いでしょう。ちなみに英語では、SAP Certificationと呼ばれます。

1-1 SAP認定コンサルタントとは

SAP認定コンサルタント資格とは、SAP社が提供する資格で、SAP社による認定試験に合格すると取得できます。SAPシステムに関して、その構築、開発、保守、運用などに関する有益な知見やノウハウを保有していることをSAP社が認証するものです。


資格を取得するとデジタルバッジが提供されるので、それが外部への証になります。またSAP社によれば、資格取得によって、28%が収入アップ、76%が職場から尊敬されたという調査結果が出ています。

1-2 SAP認定コンサルタント資格の種類

SAP認定コンサルタント資格には、以下のように大別して5種類のカテゴリーに属しています。

①SAP Certified Application Associate (SAP認定アプリケーションアソシエイト)

SAPの基本的な機能や概念を理解していることを証明する資格
一般的に、SAPシステムの実装やサポートに関する業務の初心者向け

②SAP Certified Development Associate (SAP認定開発アソシエイト)

SAPの開発に関するスキルを証明する資格
ABAP、SAP Fiori、UI5などのSAP開発に関連するテクノロジーに精通していることを証明する

③SAP Certified Technology Associate (SAP認定テクノロジーアソシエイト)

SAPシステムのインストール、設定、管理に関するスキルを証明する資格
SAPシステムの運用やデータベース管理、クラウド技術などに精通していることを証明する

④SAP Certified Business Associate (SAP認定ビジネスアソシエイト)

SAPシステムを利用してビジネスプロセスを改善するためのスキルを証明する資格
SAP ERP、CRM、SRM、SCM、SuccessFactorsなどのSAPソリューションに精通していることを証明する

⑤SAP Certified Professional (SAP認定プロフェッショナル)

SAPの高度な機能や専門的なスキルを証明する資格
SAP HANA、SAP S/4HANA、SAP BusinessObjectsなどの専門分野に精通していることを証明する


以上が一般的なSAP認定コンサルタント資格の種類です。

資格を1つでも取得すれば「SAP認定コンサルタント」を名乗ることができます。一度取得すると、関連するサービスがバージョンアップするまでは有効です。またリリース時期の違いで同じサービスでも認定試験が異なる場合があります。そのときは認定試験のコード番号末尾が大きい方が最新です。

例)
・C_BOBIP_42 - SAP Certified Application Associate - SAP BusinessObjects Business Intelligence Platform 4.2
・C_BOBIP_43 - SAP Certified Application Associate - SAP BusinessObjects Business Intelligence Platform 4.3
この2つは、どちらも同じサービス認定試験です。認定コードとは「C_BOBIP_43」の部分で、この場合「43」の方が新しいリリースになります。


ただし、SAPが提供する資格は常に変化しており、新しい資格が追加されたり、古い資格が廃止されたりすることもあります。またサービスが消滅するとその資格もなくなります。SAPのサイトには「間もなく提供終了となる認定試験」として掲載されます。認定試験が終了すれば、それに関連する資格も終了となります。

1-3 SAP認定コンサルタント資格取得数及び取得者数

SAPの公式サイトである「パートナー別SAP認定コンサルタント資格取得数」によると、2022年10月時点において、企業の資格取得数は258社、資格取得者数は約28,000人弱と公開されています。

また、SAP認定コンサルタント資格は年々増加傾向にあり、過去10年間で資格取得者数が増加していると推定されます。ただし、具体的な数字についてはSAPからの公式発表がないため、詳細は不明です。

1-4 SAP認定コンサルタント資格の受験費用と受験の仕方

 

認定試験を受験するにはSAP社の専用サイトから申し込みます。受験はオンラインのみ(※1)です。費用の払い方は2つあり、1つは12ヶ月のサブスクリプション期間に6回の試験を受験可能(75,548円:税込)なタイプで、6種類の試験を受験することも、1つの試験を3回まで受験することも可能です。再受験は6回のうちの1回としてカウントされます。2つ目は1回のみ受験可能(30,219円:税込)のタイプです。

 

※1:以前は物理的な試験会場での受験も可能でしたが、コロナ禍の影響もあり今はオンラインのみです。

1-5 SAP認定コンサルタント資格の難易度・合格ライン

SAPに全く携わったことのないSEやコンサルタントが合格するにはかなり難易度が高い資格となっています。しかし、しっかりと対策を取ることで独学でも合格は目指せます。本記事の最後に、独学で資格取得を目指す際のおすすめの勉強方法をご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。


また、合格ラインは試験ごとに異なりますが、約6、7割の正答率が合格基準とされています。「アプリケーションコンサルタント資格」試験の場合には、80問中63%以上の正答率が合格ラインとなります。受ける資格によって出題範囲や合格ラインが変動するため、SAP社公式の最新試験一覧よりあらかじめ確認しておきましょう。

1-6 試験当日の段取り、基本的には選択問題

オンライン受験の日程、時間の予約は、SAP社の「Certification Hub」ページ(※2)から行います。受験に際しては、以下の準備が必要です。



・Questionmark Secure browser(事前にインストールしておくこと※3)

・Webカム(映像を提供できるカメラ)

・マイクロフォンもしくはヘッドセット

・インターネット接続

・パスポートもしくは英名が書かれたクレジットカード



受験時間が近づくと、予約リスト画面から受験ができます。オンライン受験では、Certification Hub の試験監督が、試験当日に Web カムを通じてインターネット経由で受験者を監督します。試験監督は英語で会話します。以下、ネット上に掲載された受講生の感想などから、試験監督とのやりとりを参考として紹介します。



試験開始前:

1)試験に関する注意と受講生の氏名確認

2)ネットワークが切断されたときの注意、最悪チャットか指定アドレスにメールする。5分以上接続が切れたら試験は中断。接続切れの場合は、試験回数にカウントはされない。

3)本人確認。パスポートもしくは名前が英語で印字されているクレジットカードを見せる。

4)試験解答する際の動作等の注意。室内は見回さない、部屋に第三者は入れない等の注意を勧告される。これに違反した場合は、途中でも終了になる。



試験開始:ネット接続が切れたり、再接続できない場合は、電話をしてくれ等の注意事項を言われる

試験終了:質問への応対、アンケートがあるので協力のお願いがある



途中で英語辞書を使うことはできません。試験官との会話は英語ですが、ゆっくり話してくれるので不安になる必要はありません。合否判定は即座に行われます。



※2:https://training.sap.com/learninghub

※3:https://support.questionmark.com/content/get-questionmark-secure から可能

2 SAP認定試験のおすすめ勉強方法

資格を獲得するには、その賢い勉強方法について

SAP認定コンサルタント資格の取得に関しては、総論として「決して簡単ではない。しっかり準備する必要がある」という声が多いようです。取得の際は、パートナー企業の支援を活用しているケースも多く見られます。ここでは資格獲得のための、賢い勉強法について紹介します。

2-1 独学で学ぶ

本家SAPが充実した学びのコンテンツを提供しています。まずe-Learningでは「openSAP」(すべて英語、無償)、「SAP Learning Hub」(一部日本語あり、14日間の無償利用可能。他は有償、年間数万円~数十万円)があります。他にも、一般のIT向けオンライン講座「Udemy」にはSAPのコース(全て英語、有償、数千円から)があります。


受験勉強を独学で行い、合格することは不可能ではありません。ネット上には「独学で合格した!」という報告も散見されます。しかし知識は独学で体得しても、合格するためには「数年のSAP実務経験」は必須と言えます。これはハンズオンだけでは得られません。ですからSAPパートナー企業に関連して、実務経験を重ねることを強く推奨します。

経験を重ねたら、その上で高額を覚悟でSAP Learning Hubを受講することをお勧めします。安くはありませんが、その後の報酬・年収として年間600~1,000万円を期待するなら、数十万の投資は無駄ではありません。またSAP Learning Hubには、Learning Roomsという機能があり、オンラインでSAP専門家や他の受講者と交流できます。質問できたり最新情報をキャッチアップできるなど、独学でつまずきやすい部分をクリアできます



受験前には過去問に目を通しておくべきでしょう。SAPは過去問を発表していませんが、ネット上で過去問に関する情報が手に入ることがあります。試してみる価値はあります。

2-2 学校やスクールで学ぶ

最近では、大学や専門学校で学ぶ方法もあります。国内では京都情報大学院大学に「SAP認定コンサルタント対策講義」があります。駒澤大学経済学部の「ITプロフェッショナルクラス」は、SAP社の製品やサービスを大学教育で利用できる支援プログラムに参加しており、ここでも資格取得の学びができます。現在、この支援プログラムには、青山学院、駒澤大学、上智大学、早稲田大学が参加しています。


学校ではありませんが、SAPのパートナー企業のうちいくつかは、SAPトレーニングやSAP Learning HubをSAPの代わりに提供しています。中には「独自のトレーニングも提供しています。SAP 初心者からプロフェッショナルコンサルタントまで幅広く対応しております」とメッセージするパートナー(※4)もいます。独学に難しさを感じたら、こうしたパートナーに相談しても良いでしょう。


また、オンラインスクールとしては、SAP公式のSAP EducationやUdemy以外でも、オンライントレーニングプラットフォームで、SAPのさまざまな資格に対応するコースがある”Simplilearn”や、多数の大学や企業が提供するオンラインコースをまとめたプラットフォームで、SAPのトレーニングコースも含まれている”Coursera”などもおすすめです。
以上のように、SAP資格のスクールはオンラインで行っているところが多いです。


これらのトレーニングプロバイダーは、SAP資格取得に向けたコースやトレーニングを提供するだけでなく、SAPの実務経験やキャリアについてのアドバイスも提供しています。個人の目的やスキルに合わせて、適切なトレーニングプロバイダーを選択することが重要です。



※4:https://cdn20.training.sap.com/cdn/pdf/SAP-Channel-Partner.pdf/JP/JA

2-3 実務の中で学ぶ

ある程度SAPの知識やスキルを有していることが前提ではありますが、よりSAPへの理解を深めるためには、実務を通してSAPに触れることが重要です。

実際のSAPに関するプロジェクトでは、周囲に実務経験が豊富な専門家がいることもあり、疑問点や気になる点を確認できるというメリットがあります。また、ビジネス上の課題やニーズに合わせてSAPシステムを設計、構築、実装、カスタマイズすることを学ぶことができます。


まず、SAP Learning Hubなどで必要な知識を身につけた上で、実際にはどのようにSAP上で操作を行うのか実践することで、SAPへの知識を定着させましょう。
独学は知識のインプット、実務は学習したことのアウトプットだと認識し、SAPのスキルや知識を身につけて、資格取得を目指しましょう。

2-4 おすすめの参考書・過去問

これからSAPの勉強を始める方にこれだけは読んでおいて間違いない!というおすすめの参考書を3つに絞ってご紹介します。

1、図解入門 よくわかる最新 SAPの導入と運用

SAP初心者が一番はじめに読むのに最適な1冊です。
ERPとは、SAPの歴史、各領域(モジュール)の概要に加え、実務ベースの話を交えながら解説されているので、
SAP導入プロジェクトがイメージしやすく書かれています。
また、SAP概要本には珍しく、ABAP(SAPのプログラミング言語)やSAP全体構造、周辺ツールにも触れられていて、
SAPを体系的に学ぶのに非常に適しています。
SAPの概要をギュッと凝縮したような1冊なので、まずは全体感をつかみたい!という方にお勧めです。

2、世界一わかりやすいSAPの教科書(入門編)

世界一わかりやすいSAPの教科書(入門編)は、ピザ屋を舞台に会社業務とSAPの関係を身近な例で分かりやすく解説してくれている本です。
これまでのSAP本は、専門的な内容すぎたり、実務でどう使われるかが分かりにくいものばかりでした。
しかし、この本は身近な「デリバリーピザ屋がSAPを使ったら?」という分かりやすい例えをもとに、会社業務のこと、SAPのことを解説してくれています。
この本から勉強を始めると会社業務のこと・SAPのことを全体的に捉えられるので入門書としてベストな1冊です。

3、SAP ERPモジュール完全ガイド

上記の2冊と比較すると、少しレベルは上がるかもしれませんが、SAP ERPモジュールの基礎的な知識から、実際のビジネスプロセスの設定方法まで、幅広い情報を
提供しています。

また、SAP認定コンサルタント資格の過去問は、過去問サイトから購入が可能なようです。

過去問を利用して学習したい方は、試験コードをSAP公式サイトで確認し、Googleで「試験コード answer」で検索して過去問サイトから購入しましょう。なお、実際に受験した際の過去問についてですが、試験終了後に受験した試験内容を再度確認することができない仕組みとなっており、試験問題を持ち帰って復習することはできません。

2-5 資格の維持の仕方、S/4HANAは差分試験も

取得した資格は、資格に関する機能やサービスが続く限り有効です。しかし新しいバージョンがリリースされると旧バージョンの資格は有効ではなくなるので、新しいリリースに対応した資格を取得する必要があります。SAP社のサイトには「間もなく提供終了となる認定試験」というページがあるので、そこで確認できます。

 

ただリリースが頻繁に行われる場合は、アップした機能のみの差分試験があります。SAP SuccessFactors、SAP Ariba、SAP Digital Supply Chain、SAP S/4HANA Cloudなどは差分試験が行われるケースが多いようです。なお、取得した資格が最新状態か評価であるかどうかの確認は「Stay Current with SAP Certification」(※5)というページで行えます。

 

※5:https://training.sap.com/content/stay-current-certification

3 資格取得の効果は、企業の目に止まりやすい、最低限の知識があるという判断をしてもらえる

資格取得にデメリットはありません。SAP経験がなく、その他のスキルや経験が似ていれば、資格保持者を優先して検討するのは当たり前です。つまり資格を取得すれば、企業の目に止まりやすく、良い案件に出会える可能性は高くなります。

しかし資格を取得したからといって、実務ですぐに役に立つかどうかは別です。資格だけでは、その領域の実務はこなせないと考えた方がよいでしょう。
やはり経験がないと、納品にまでは至りません。そのため資格は、SAP案件に参画したことがない人にとって、最低限の知識があるという証明になり、同じ経歴で横並びになった場合は優先して検討してもらえるといったメリットがあると捉えるとよいでしょう。
SAP認定コンサルタント資格は、SAPに関わるコンサルタントやエンジニアにとってベースラインとしてのひとつの指標とも言えます。


ただ苦労して取得した資格を、案件獲得に有利に活用してもらうには、その資格の意味や価値を正しく評価できる案件紹介サービスを選ぶべきです。一般の案件紹介サービスの営業は、その資格が意味するところを深くは理解していません。「あった方がいいよね」ぐらいの判断です。

PROJECT FINDERならば、現役SAPコンサルタントがエージェントとして対応するので、資格の意味、マッチする案件を明確に理解します。新たな資格を取得したい場合、希望を述べておけば、資格にマッチする案件を選んでくれる可能性は高く、自身の成長につながるマッチングに期待できます。

監修者:コンセスコンサルティング株式会社 インターン生 加藤照都

2022年10月からコンセスコンサルティング株式会社でインターン生として、ホームページ記事の更新や新規記事の作成を行っている。

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