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掲載日 2022.09.22 / 更新日 2023.05.03

SAPの将来と案件の傾向、2027年問題もあって案件は潤沢

SAPの将来と案件の傾向、2027年問題もあって案件は潤沢

AWSやAzureといったクラウドが躍進する中、オンプレミスが中心だったSAP市場の将来性が気になる方も多いと聞きます。もちろんSAPもクラウドへの対応を進めていますし、S/4HANAの提供など改善を進める姿勢に変わりはありません。IT環境の変化は激しいので、SAPエンジニアやコンサルタントに今仕事があるからといって、いつまでもSAPだけでいいのか気になる人も多いのではないでしょうか。

ここではSAPに関心がある人や、SAP導入に関連したコンサルティング会社やSIerに在籍している方に向けて、話題の2027年問題も含めSAPの将来性と案件の今後の傾向を見てみましょう。

1 SAPというソフトウェア・プロダクトの将来性

SAP業務の将来を考えるならば、SAPそのものの成り立ちを知っておくことは重要です。1972年にIBMドイツ法人にいた5人のエンジニアによって創業されたSAP社は、企業向けのソフトウェア開発を中心に成長し、現在、エンタープライズソフトウェア市場で圧倒的なシェアを持ち、企業の基幹システムであるERP分野では世界一を誇ります。また、ERP市場そのものも、前年比112.5%と成長基調にあります(2022年、デロイト トーマツ ミック経済研究所発表)。基本的には、SAPは右肩上がりの市場のトップランナーです。以下、もう少し詳細にチェックしてSAPの将来を確信できるぐらい知識を深めましょう。

1-1 SAPとは何かを今一度確認、世界や日本のERPランキングを見る

SAPは、Systemanalyse und Programmentwicklungのドイツ語略で、ドイツ生まれドイツに本社があるIT企業です。企業運営や活動の基本となるヒト・モノ・カネ・情報などのいわゆる資産(アセット)を、適切に分配し有効活用を目指すERP(Enterprise Resources Planning)ソフトウェアを主に開発、提供しています。

世界初のERPソフトと言われる、1973年のメインフレーム用会計システム「SAP R/1システム RF」をリリース後、1979年、ABAP言語を採用した「SAP R/2 メインフレームシステム」をリリース、1992年にはSAPの地位を確実にした、クライアント・サーバーシステム対応「SAP R/3 Enterprise Edition1.0」をリリースします。特にEdition 4.6Cは世界的スタンダードとして評価されます。2005年には、今も利用されている「SAP ERP Central Component(ECC)6.0」をリリースしました。

現在のSAPの主力は、2015年発表の「SAP S/4HANA」です。SAPでは、よりSAP S/4HANAに集中するため、SAP ECC 6.0のサポートを2027年末としました。これが話題になっている2027年問題です。
ERP市場でのSAPのポジションは、世界では1位(米Apps Run The World発表)、日本では3位(ノークリサーチ発表)という報告が上がっています。

1-2 ERPの将来性を考える

ERP市場について見てみましょう。2021年国内ERP市場の規模は2233億円、前年対比112.5%の成長という報告があります(2022年、デロイト トーマツ ミック経済研究所発表)。また、ERPパッケージ・SaaSの導入数を見ると、1位・SMILEシリーズ:OSK/大塚商会、2位・GLOVIA smart/iZ/SUMMIT:富士通、3位・SAP ERP/SAP Business All‐in‐one(ノークリサーチ発表)という報告があります。

市場の特徴としては、SaaS型の伸びが高いです。2020年度のパッケージ販売は前年度比2.4%減のマイナスだったのに対し、SaaS型は同27.2%増と高い値を示しました(ITR発表)。

世界では、2020年のERP市場規模は952億ドル、2025年まで1%程度の成長が見られ、そのシェアでは1位:SAP、2位:Oracle、3位:Intuit, incという報告があります(米Apps Run The World発表)。ERPの市場は世界も日本も盤石で、その中でSAPは好成績を上げています。エンタープライズ市場は、一般コンシューマと異なり、1、2年で状況が大きく変わることは少ないです。おそらくERP市場も、その市場におけるSAPのポジションも、ここ数年~10年ぐらい大きな問題はないといえるでしょう。

1-3 SAPとクラウドの関係。主要なクラウドタイプを知り、顧客ニーズを探る

SAPもクラウドへの対応を進めています。ERPソフトウェアの主力、S/4HANAもデビュー当初はオンプレミス用でしたが、2013年にSAP HANA Enterprise Cloud(通称、HEC)というマネージド・プライベートクラウド向け IaaSタイプを、2016年にはS/4HANAのSaaSタイプ「S/4HANA Cloud」を発表しました。

HECは、ECC 6.0からS/4HANAへの移行をスムーズに行うために用意されたもので、当時「S/4HANAへの橋」とも呼ばれました。最初はSAPが提供するクラウドでの利用でしたが、今はAWS、Azure、GCP、そして顧客のデータセンターでもホスティングできるようになりました。

日本企業が好むのは、いろいろカスタマイズがしやすいHECです。現場のSAPコンサルの肌感覚では、S/4HANA導入の大部分はHECという声もあります。このため現状では、SAPエンジニアやコンサルタントとしては、SaaSタイプの経験よりもオンプレミスのように1から立ち上げた経験があるコンサルタントを顧客も望んでいるでしょう。

ただ現在は、SAPはHEC(IaaS)よりもS/4HANA Cloud(SaaS)を営業的にプッシュしていて、中でも「Rise with SAP S/4HANA、Private edition」が一押しです。Rise with SAPとは、SAPが新たに提供するサービスの総称です。サービスには2種あり、1つは、既存のSAP ERPからSAP S/4HANA Cloudに移行しやすくする支援ツールの提供です。もう1つは、S/4HANA Cloudを様々なパートナー企業や企業内システムと接続できる基盤「Business Technology Platform(BTP)」の提供です。HECと違いサブスクリプションのみの対応です。

その他、S/4HANA Cloudには、SAP business byDesignという小~中規模企業向けのSaaSタイプもあります。こちらはサブスクリプションで、短期間ですぐに利用開始でき、上位のSAP ERPとの親和性も高くなっています。カスタマイズよりも、まずは標準機能でERPをスタートさせたい企業に向いています。

1-4 HANAをきちんと理解しておこう

現在、S/4HANA がSAPの主力ERPですが、正確にはHANAは、SAPが2010年に開発したインメモリ型のデータベースです。SAPのマネージド・プライベートクラウド、AWS、Azure、GCPといったパブリッククラウド、企業のオンプレミス・データセンターで稼働させることができます。高速かつリアルタイム性が特徴で、UIやUXも従来より整理されました。機能選択のための画面の遷移数が大幅に減って、業務の効率を格段に向上できます。

S/4HANAは、そのデータベースを基盤とするERPソフトウエア群を指します。S/4HANAについては、SAPとしては「当社の歴史において最大リリース」と当時いわしめたほど、性能を大幅にアップさせたものです。SAP社としては、以前のERPを2027年でサポート終了してまで、切り替えたいとしています。

2 2027問題で、SAPコンサルタントやエンジニアの手が足りない!


「SAP 2027年問題」とは、大企業を中心に世界中の企業で基幹システムパッケージとして使用されているERPソリューション『SAP ERP 6.0』(ECC 6.0)の標準保守(メインストリームサポート)が2027年末に期限を迎えるという問題です。

つまり、2027年末には既存SAP ERPであるECC6.0のサポートが終了します。本来は2025年末だったのですが、ユーザー企業から「厳しい」「間に合わない」という声が多く、2027年末まで伸びた経緯があります。2027年問題と言われているのは、まだS/4HANAに移行していない企業が8割近くあるからです。国内SAPユーザー会「ジャパン SAPユーザーグループ」の調査では、移行を完了した企業は2割にも満たないという発表がありました(2020年)。このままでは2028年から、サポートが切れたSAP ERPを使う企業が多数残ってしまいます。


2-1 2027年問題の対応選択肢


現在、2027年問題への具体的対処方法は、以下の3つと言われています。

①2030年までサポート延長:有償だが30年までサポート延長の依頼をSAPに行う

SAP ERP 6.0を継続して活用することが可能です。現在の保守基準料金に2%追加することで、保守期限を2030年末まで伸ばす延長保守サービスも用意されています(Enterprise Supportだけでなく、Standard Supportのユーザーにも提供。ただし“EhP6”以上を導入していることが条件)。
そのため、現在のパッケージがECC6.0以前(ECC5.0など)ならば、一度、エンハンスメントパッケージを6.0 以上にバージョンアップしてからサポート延長を依頼しましょう。
また、第三者による保守サービスを受ける選択肢もあります。
システム基盤を刷新しないため業務面で混乱を起こすことはありませんが、機能が拡張されることもありません。デジタル戦略において最適化を進めている競合他社からは後れを取る恐れがあります。

②SAP S/4HANAに移行する

SAP社が推奨しているのが最新版であるSAP S/4HANAへの移行です。先ほど説明しましたが、最新版ならではの優れた機能や、クラウド化していることからスムーズな導入が可能でビジネスの意思決定をしやすいのが特徴です。

ただしシステムの移行には、要件定義やアセスメント、PoC、アドオンの最適化など少なくない高度なプロセスがあり、発生するさまざまなコスト(資金的/人的/時間的)を踏まえたデジタル戦略の構想策定が必要です。またシステム移行を機にアドオンを含めた業務プロセスを見直すことで、抜本的な業務改革であるBPR(Business Process Re-engineering:ビジネスプロセス・リエンジニアリング)を図ることができます。

③他社ERPへの乗り換え

SAP製品以外にもさまざまなERPサービスがあります。クラウドベースのERPサービスをはじめとしてあらたな基盤システムに移行する選択肢があります。ほかのERPであれば最新のIoT技術を導入するなどシステムの再構築をゼロからすることが可能です。
しかし、ほかのERPシステムの選定から開発、導入に至るプロセスにおいて高いコストが発生します。
また、過去に蓄積したデータや知見、ノウハウが活かせなくなる恐れもあるでしょう。運用マニュアル作成や社内教育の負担も考慮して、構想する必要があります。



現状では、1の対応を考えつつ、2の選択が多数と言われています。3 は、過去のSAP資産を新規ERPに移行する手間を考えると「選択しづらい」でしょう。ただ、企業も移行したくないわけではなく、移行を担うSAPパートナーは既に手いっぱい、コンサルタントやエンジニアの数が足りないことが移行できない理由の1つと言われています。こうした状況は企業には厳しいですが、逆にSAPのエンジニアやコンサルタントにとって、ここ数年案件に困ることはないと容易に想像できるでしょう。

2-2 2027年問題において考慮するべき事項


2027年問題において次の2点に考慮することが必要です。

①Unicode化対応

SAP S/4HANAコンバージョンの前提としてUnicode化が挙げられます。そのため、現在のSAPシステムがNon-Unicode環境である場合、Unicode化の検討や影響調査、Unicode化に伴う改修・テスト、ダウンタイムなどを考慮する必要があります。

特にERPシステムはUnicode化による改修範囲が大きくなるため、改修・テストは十分な準備をする必要があります。

②基幹システムの基盤整備

「2027年問題への対応」はシステム基盤再整備の絶好のタイミングです。
「SAP S/4HANAへの移行」又は「SAP ERP6.0の継続利用」のどちらを選択したとしても、SAPシステムをクラウド環境へ移行する、或いはWeb対応しておくことで、柔軟さと拡張性のある基幹システムとなり、今後の経営環境の変化に対応しやすくなります。

 

 

 

 

よって2027年問題の対応は、あるべきSAPシステムの姿を描き、
Unicode化や基盤整備を織り込んで、移行プランを戦略的に進めることが重要です。

 

 

3 SAPコンサルタント、エンジニア(通称ABAPer)の将来

SAPコンサルタント、エンジニア(通称ABAPer)の将来

SAPの将来について、その概要がわかったところで、SAPが業務フィールドであるコンサルタントやエンジニアの将来はどうなるのでしょうか。両者の業務内容の違いを明らかにし、それぞれの将来、必要なことを考えてみます。

3-1 SAPコンサルタントの概要と、その将来性

SAPコンサルタントの主戦場は、SAPの新規導入支援やバージョンアップ支援です。SAPのシステムは、財務、会計、在庫管理や販売管理、そして人事など企業経営の全般に関わりますから、コンサルタントはSAPというITシステムの開発だけではなく、企業の経営全般の効率化を意識し、技術と経営の両方に視線を配る必要があります。

ですから、どのような仕様でSAPを導入するかについて、企業と積極的に相談し決定する必要があります。経営状況や現状の課題を把握し、SAP導入によってどう課題を解決して、経営の改善を目指せるかの提案を行います。働き方改革の影響から、残業を減らすには、といった業務効率化も目的となるケースも増えています。また大きな企業であれば、すでに他社のERPを使っていることもあるでしょう。そのときは現在使っているシステムやデータをSAPにスムーズに移行させるサポートも重要な業務になります。

SAPを導入する際、標準機能では足りない機能や不足する帳票などが発生し、ユーザ企業ごとに独自開発を行うことが多くあります。このように、企業の業務内容に応じて、アドオン開発をしたり、カスタマイズを施すのもコンサルタントの重要な役割と言えます。さらに導入して実際に稼働が始まった後、導入後のバージョンアップ、追加機能の開発、他システムとの連携など運用や保守のケアを期待されるケースもあります。

こうした背景から、SAPコンサルタントには、要件定義フェーズからGo Live後のサポートまでの一連のプロセスを1つのプロジェクトで経験した方が最も望まれます。次に、一プロジェクトでなくとも、どれかの導入フェーズを経験している方、次に保守・運用などのみ経験した方という順になりますが、経験や能力に応じて参画できる案件が決まるため、できるだけ多くの経験をすることがフリーランスにとっては望ましいでしょう。なお、これらの経験がない場合、少なくともSAP以外でもいいのでERPの導入経験があることが望まれます。

3-2 SAPエンジニアの概要、その将来性

SAPエンジニアが行う業務は、主にアドオン開発です。SAPは何を導入しても、そのまま使えるわけではありません。企業ごとの異なる業務内容に合わせて、パラメータ設定やアドオン開発が必要です。そのアドオン開発を担うのがSAPエンジニア、通称ABAPerです。

SAPの標準機能だけでは、企業の要望を満たせない場合があります。こうした場合、日本企業の多くは「新たな機能」を製作して対応することを選ぶので、新機能の制作が必要になります。SAP向けの新機能作成には、独自言語のABAPを使うため、ABAPを習得しているSAPエンジニアの出番になります。

SAPは同社自らが「SAP認定コンサルタント資格」を提供しています。これはSAPが提供する試験に合格すると取得できるもので、本資格を持っていればフリーランスでも案件獲得が近くなります。

また、最近では中小企業向けのSaaS「SAP Business ByDesign」も人気です。こうしたSaaSの導入を検討している企業は、大掛かりなSIerよりもフットワークの良いフリーランスを望むことも多いので、この分野でも案件発生を期待できるでしょう。

3-3 コンサルタントとエンジニアの違いとは

一般的にコンサルタントの方が、業務の上流部に関わることが多いので、エンジニアよりは業務知識やSAPの機能に関する知識やクライアントフェーシングするため高度なコミュニケーション能力が求められ、さらに責任が重い分、単価も高い傾向があります。また、プロジェクト全体の目的意識、経営管理といった視点での業務は得難い経験です。ここから大きく成長できる可能性も高いと言えます。例えば、SAPコンサルタントから経営コンサルタントへと転身できるかもしれません。

SAPエンジニアからさらに高収入を目指すなら、SAPコンサルタントへの転身は最も適した方法です。自身が経営に興味があったり、課題解決に集中できるか考えて「できる」と思ったら、経営や企業課題の勉強を重ね、顧客にどんどん提案をして認めてもらいましょう。
しかし責任が多く必要な知識やスキルが多い分、負担が大きいのも事実です。激務で体がもたない、勉強が追いつかないなどで失敗するケースもあります。また、最新技術への興味は何物にも変え難い面があります。特に技術の変化スピードが速いとき、これを追っかける面白さはエンジニアを夢中にさせます。コンサルタントでは、こうした興奮は味わえません。こればかりは人それぞれですので、自分がどちらを好きかを良く考えてみましょう。

合わせて、会社員からフリーランスになることのメリットは、自分で自分の仕事を選べることです。やりたい仕事に出会えて、それを自分の裁量のまま仕切れれば高い満足感を得られます。ただ、そうした案件ばかりではありません。時にはプロジェクトの一部しか関係できず「業務全体の感じが掴めない」「自社に役立つ、という気持ちが懐かしい」という声を聞くこともあります。

3-4 20代、30代に向けた、おすすめのSAPキャリアパス、より高い報酬・年収を獲得するために

年代別に、SAPのコンサルタントやエンジニアのキャリアパスを上手に伸ばす手法を紹介します。

・20代:SAPのパートナー企業に所属し、まずは社員としてSAP案件の経験を重ねることを強くおすすめします。今なら、S/4HANA移行案件が予想されるので、大きなプロジェクトに関連できるビッグチャンスとも言えます。できれば、SAP導入からGo Live、稼働後の安定稼働まで、フルに参加する案件を1つでも経験してください。企業は、この実務経験を一番高く評価します。もしパートナー企業に所属できなければ、信頼ある紹介会社に依頼し、S/4HANA移行の案件を中心に紹介してもらい、経験を積むことをおすすめします。とにかく20代はSAPの導入や構築の経験を積むことに集中しましょう。

・30代:SAPの経験やS/4HANA移行の経験を積んだなら、自分の力で道を切り開くことができます。コンサルタントやエンジニアとして活躍できるエージェントなどに相談してみましょう。今の経験と知見でフリーでやっていけるか判断してもらうのも良い方法です。できると思っても、弱い分野があるかもしれません。フリーになって一番辛いのは、実力不足が「後でわかる」ことです。1、2件はうまくいっても、実力不足では後の数十年を乗り切るのは難しいでしょう。ぜひ第三者の視点で、実力を測ることをおすすめします。
経験を積んだり実力を上げることは、会社員のままでも可能ですが、なかなか自分が望む、実力で勝負したい分野での仕事を選べる機逆にこの時点で、自分の将来のビジョンが明確になっていなければ、見つかるまで会社に所属していた方が有利とも考えられます。自分が何を望むかは落ち着いて探しましょう。

3-5 40代以上なら、フリーの道をぜひ考えてみましょう

40代:この年代まで会社員であれば、ぜひフリーランスでのチャレンジを検討していただきたいです。豊富なSAP導入経験と、そこから来る知識とゆとりなどなど、取引相手が安心する材料が多くあります。プロジェクトの早いタイミングから関与できるポジションでプロジェクトに積極的に立ち向かい、高報酬が目指せます。得意分野があれば、どんどん勝負できるでしょう。ただし、最近の技術トレンドへの目配りは忘れないようにしましょう。

50代:この年代でももちろん活躍できます。昔からSAP導入に携わっていた方であれば、誰よりも経験豊富なため非常に重宝がられます。自らの集大成として、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。

60代:十分活躍可能です。逆に、元気があるうちに1度はフリーの立場でSAPに挑むことをおすすめします。アプローチの仕方は50代とほぼ同等ですが、体力があることや手足が動くことを示した方が相手は安心します。また、ステークホルダーと上手くコミュニケーションを取れるかどうかをプロジェクト側は気にすることが多いため、上手にコミュニケーションが取れることはアピールしたいところです。なお、60代にもなれば、知識の豊富さからアドバイザーとしての参画を求められることもありますので、知識の豊富さ、謙虚さ、まだまだフットワーク軽く、手足が動くことをアピールできれば期待値はグッと上がります。

なお、50~60代すべてに言えますが、継続してSAP案件に参画していれば、新規取引でも会話の端端から相手に安心感を与えられるでしょう。ポイントを活かせば、案件獲得も有利に進められるはずです。

4 SAPやSAP業務の将来性

SAPやSAP業務の将来性

ここまでSAPの成り立ち、ERP市場の情勢、SAPコンサルタントとエンジニアの状況などを見てきました。これらを踏まえて、SAPそのものや関連業務の将来性を考えてみます。

4-1 冷えないERP需要、2027年対応、足りない人材がポイント

SAPやSAP案件の将来性を考える時は、今後も冷えないERP需要や2027年対応が大きなポイントと言えます。

冷えないERP需要とは、国内では2021年度は前年比112.5%、世界規模では2025年までは減少なしと言われるように、ERP業界全体が伸びている点です。もちろん技術ですから、今のままの形で5年、10年と続くかどうかはわかりませんが、関与する分野が企業経営である点は強みと言えます。企業経営に役立つITをERPという形で体得しておくことは、企業がある限り活用できる貴重な経験・ノウハウです。

また、SAPが最初ドイツで誕生して、そこで順調に成長した理由の1つに、ドイツの職業訓練制度があります。労働者の8割近くが取得するもので、そのためこの制度に適した形で業務を整理すれば、皆が使いやすい、結果標準化しやすいという背景があったと言われています。*1

SAPの上で作られた各領域ごとの事例(ベスト・プラクティス)は、他社でも応用しやすく、結果SAPを利用することで自社の業務をどんどん整理・効率化しやすくなりました。この傾向は、あまり企業構造が標準化されていなかった米国でも好まれ、どんどん採用が進んだと考えられています。つまりSAPのERPは、今や世界のスタンダードに近く、各社の事例を応用すれば自社向けにも活用しやすくなるなど、SAPのERPにおける強いポジションは今後も変わらないと言われています。

さらに直近では、SAPの2027年問題への対応という商機があります。現在のSAPユーザーの8割がこの問題をクリアする必要があることがわかっています。当然、それを可能にするSAPコンサルタントやエンジニアのニーズがあるのは自明の理です。

フリーランスのSAPコンサルタントやエンジニアになるには実務経験がほぼ必須という背景から、新たな人材が大量に増加することはなかなか考えにくいとも言えます。これは企業には厳しい話ですが、案件獲得を目指す視点に立つと、落ち着いて選べる良い環境です。

*1:「SAPの成功:ドイツの制度環境からの一考察」https://www.ipa.go.jp/files/000068596.pdf

4-2 今後伸びるソリューションや分野、市場にも注目

未来永劫、SAPが今のままということはありません。SAPもIT技術の一環であり、ビジネス用のソフトウェアですから、いろいろな情勢変化の影響を受けます。

SAP社自身もそれを十分理解しており、ERPを中心に、Ariba、SuccessFactors、Concurといったいろいろなソリューションを出してきています。Aribaは、調達から支払まですべての支出をデジタルで管理、統合できます。SuccessFactorsは、人材に関する情報を一元管理することができ、人材のスキルの可視化を実現することができます。そうすることで、今後の人材戦略や人事戦略などをデータを元に検討することができるようになります。Concurは、世界標準で経費精算、請求書管理、出張を自動化します。

こうしたソリューションは、当然ながらSAPと連携しやすく、企業に提案する価値は高いと言えます。SAPのERP機能以外にも、企業活動を円滑に効率よくしてくれる提案ができれば、企業にとってあなたの価値はより一層上がるでしょう。

さらにDXの流行もあって中小企業でもデジタルへの投資が増えています。そこにマッチするのが中小企業向けSaaS型ERPのSAP Business ByDesignです。中小企業のIT化は、中小企業庁も推奨しているので今後導入意欲が落ちることは考えにくいでしょう。中小企業で一番ERPが入っている分野は卸売です。その卸売業界ですら導入率が30%のため、伸びしろは十分あります。中小企業ERP市場が、これから大きく立ち上がる可能性は高いと思われます。この市場の存在も、案件が豊富という理由の1つです。

4-3 新しい分野、ローコードへの対応は企業へのアプローチに効果的

SAPを含めたIT活用の最近のトレンドは「ローコード」です。プログラミングといった知識や技術がなくても、アプリケーション作成が行えます。SAPもローコードへの対応を進めていて、2021年、Business Technology Platformで利用できる統合的なローコード/ノーコード開発ツール「SAP AppGyver」を公開しました。すでにネット上では「SAP AppGyverを使って、SAP HANA Cloud上のテーブルにデータを追加(insert)できる簡単な書籍管理アプリ」を作ってみたという事例もあがっています。

こうした動きは、SAP ERPをより効果的に活用する手段であり、企業が目指す内製化に寄与します。SAP ERPのノウハウや知識以外に、こうした内製化の提案や手伝いができると、企業としては企業IT化のコンサルとしての価値も生まれてきます。SAPにも新しい風がどんどん吹いています。新しい情報はぜひキャッチアップして理解をしておきましょう。特にコンサルタントは、営業的な面もあるので新しい技術を「知らない」では信用に差し支えます。

5 フリーランスとして活躍するなら信頼ある案件紹介サービスを

結論として、SAP関連の案件に関しては、2027年問題もありここ数年は獲得に困ることはないでしょう。それはパートナー企業もフリーランスも同様です。フリーランスに関しては、SAP導入プロジェクトを頭から1回経験している、S/4HANAの移行実績がある、もしくはモジュールを1つでも導入した経験があればデビューは可能と言えるでしょう。そのため実務経験があり、独り立ちできる30代から(少なくともSAPコンサル経験3年~5年以上が目安)がフリーランスデビューに最適なタイミングと思われます。

やりたい分野がある、得意な技術や知見を活かしたいなら、フリーランスという立場で、やりたい仕事でキャリアを広げていくのも選択肢のひとつです。

フリーランスの一番の悩みは、能力があってもそれに見合う良い案件に巡り合えるかどうかです。それを解消するために、案件の内容をしっかり把握できる案件紹介サービスを活用するのがベストと言えます。

PROJECT FINDERは、現役のSAPコンサルタントがエージェントとして担当してくれるので、案件の説明も的確ですし、フリーランスの細かい要望もニュアンスまで理解できてきちんと対応できます。また疑問や質問があったら、同じコンサルタント、エンジニアの目線で会話することができます。経験者に聞くのが一番なのは、いつの時代も同じです。より良い案件に出会いたかったら、ぜひPROJECT FINDERを活用ください。

監修者:コンセスコンサルティング株式会社 代表取締役 西本 章泰

大学卒業後、国内コンサルティングファームにてSAPコンサルタント(MM/PP領域)としてSAP導入案件に従事。
その後、ベンチャー系コンサルティングファームにてSAPを中心とした大規模システム展開・定着化プロジェクトをプロジェクトマネージャーとして多数経験。
後にSAPソリューションを主体とした事業部を立ち上げ、事業部長として社内の組織マネジメントを行う一方、お客様と徹底的に向き合い、お客様にとって最適なソリューションを提供することを心がけてサービス提供をした結果、SAP事業を組織の中核事業に成長させることに成功。
現在はコンセスコンサルティングの代表として活動する傍ら、現役コンサルタントとしてSAPやRPA(UiPath)、プロセスマイニング、その他DXに関連する各種システム導入支援プロジェクトの支援を行っている。
グローバル案件を得意とし、SAP x UiPath連携ソリューションをUiPathグローバルの中心メンバーとしてリード。RPAから直接SAPのAPI(BAPI)をCallできる仕組を構築し、日本発のコンポーネントとして、逆輸入的にグローバル展開を実施。"SAPの自動化に強いUiPath"としてグローバルで認知されることに貢献。
多数の案件、コンサルタント、ユーザ企業の皆様と関わった経験を保有し、かつ現役で活動しているため、より現場感のあるアドバイスが可能な、案件紹介のプロとしての側面も持ち合わせる。

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