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掲載日 2022.09.26 / 更新日 2023.04.26

ERP案件について徹底解説!必要なスキル、経験、資格を紹介、その将来性を探る

ERP案件について徹底解説!必要なスキル、経験、資格を紹介、その将来性を探る

フリーランスという立場でERP分野の案件を担うことができるのは、IT系フリーランスとしては、恵まれた境遇に置かれていると言えるでしょう。高収入であり、比較的長期案件になることが多いため、腰を落ち着けて対応できます。委託業務を完遂すれば、企業の経営を好結果に導けるかもしません。つまり、大きくて意義ある仕事を、長期間かつ高収入でできるわけです。このような環境を望まないコンサルタントやエンジニアはいないでしょう。
こんなスペシャルな案件を掴むためには、どうしたら良いのでしょう。有用な情報を紹介したいと思います。

1 ERP案件とは!?

IT系のコンサルタントで、報酬が高い案件といえばERP関連の案件が挙げられます。なにしろ企業が、自社の根幹システムを導入もしくは刷新するわけですから、企業規模に応じた予算が組まれます。ちなみに2020年の国内上場企業の平均売上は2,144億円(※1)です。内容にもよりますが、上場企業の基幹システム導入予算が数億、数十億、場合によっては数百億円となるのも当然でしょう。

 

ERPとは、Enterprise Resources Planningであり、ERP案件とは、企業の基幹システムに関わる案件です。失敗は許されませんから過去の実績がどうしても優先されます。

 

そしてERPといったらSAPです。特にこのクラスになると海外にもエンティティーを構える企業は多いですから、国内と海外の両方でスタンダード的に使えるSAPを選択するのは、容易に理解できます。

 

※1:日本企業統計による

https://irbank.net/stat

1.1. ERP案件の業務概要

ERP案件の業務概要を紹介します。大手上場企業がERPを導入する場合、SAP、Oracle、MicrosoftのERPパッケージを利用するのが主流で、その導入の支援案件をERP案件(製品名+”案件”で呼ぶことが多いです。ここでは総称としてのERP案件)と呼びます。

導入業務は、一般に以下のようなステップに分かれています。

1)導入目的の明確化
2)製品・ベンダー選定
3)要件定義
4)設計・開発
5)テスト
6)リリース
7)運用

案件としては、1)から7)まで全部に関わる場合もあれば、1)と2)までを担当、7)のみなど、一部を担当する場合もあります。ただ企業の根幹システムですから、業務規模は大きく、1ヶ所だけの担当でも数ヶ月~半年かかることも珍しくありません(運用に関しては複数年)。

また最近は、パブリッククラウドを利用したSaaS型ERPの利用も増えています。サブスクリプションなので導入時に高額がかかることはなく、中小企業が導入しやすくなっています。そのためERP案件の全体数は増加傾向です。

ただこうしたSaaS型は規模が小さく、カスタマイズをあまり行いません。そのため、SAP、Oracle、Microsoftの主力製品を使う市場とは別に考える必要があります。SAP等のERPも、もちろんクラウドで使えますが、主に使われているのはプライベートクラウドで、規模は大きく、カスタマイズや固有の機能を搭載(アドオン)することが多いなど、SaaS型とは仕様が大きく異なります。同じ車でも、市販のファミリーカーとイタリアのスポーツカー以上の違いがあります。

1.2. ERP案件の定義

ERP案件の特徴は「正解がない」ことです。

ERP導入が意味するところは、いわば企業経営の根幹に関わるデータの管理です。そのためのツールとして、SAP、Oracle、Microsoftといった、世界でも高いシェアを占めているパッケージ製品は信頼できる製品ということで、選定されることが多いです。SAPの設定ができるといったコンサルティングのノウハウや経験は、必要条件に過ぎません。欠かせないのは、企業データをどうしたら経営に活かすことができるかに関する知見や経験です。

ERPが扱うデータは企業のデータです。データは企業ごとに異なりますし、効果的なデータ利用方法も企業ごとに異なります。つまりデータを扱うERPの効果的な利用方法も、企業ごとに異なるわけで、ERP案件とはいわば、その企業向けに最善のデータ活用方法を探る業務です。正解はその時の会社の体力、社会情勢によって大きく変わります。外部環境により、連携するツールも変わってきます。報酬が高いのも、これほど高度な業務だからです。企業も、ERP案件を担当できる人材には、業務に対してある程度の理解があり、よりよいソリューションを提案してくれる人である、ということを、少なからず期待します。

1.3. 著名なERPを一覧で紹介

ERP系コンサルタントなら、国内で利用されているERPは知っておくべきでしょう。

SAP

世界で一番有名なERPベンダーです。ITには珍しくドイツ生まれ、ドイツ本社です。今までスタンダードだった「SAP ECC6.0」の2027年サポート終了から「SAP S/4 HANA」というパッケージへの移行案件が増えています。

Oracle

国内では2位のERPベンダーです。現在の主力は、Oracle Fusion Cloud ERP(旧: Oracle ERP Cloud)です。財務会計、調達管理、ポートフォリオ管理、リスク管理、統合業績管理、そして製造や物流などの業務システム全ての情報を一元管理できます。名称通り、クラウドサービスです。

Microsoft

Microsoft社のERPは「Microsoft Dynamics 365」といいます。ERP機能に加えて、CRM(Customer Relationship Management、顧客管理)機能も含んだ点が特徴です。「Business Central」というタイプは、1つのデータベース内で複数の会社を管理できます。そのためライセンス体系はサーバーライセンス、同時接続ユーザーになっています。「Business Central Cloud」というタイプはSaaS型で、中小企業が利用しやすいサブスクリプションライセンスになっています。

大塚商会/SMILEシリーズ

小中規模の企業用ERPで、国内利用者数はベスト3に入ります。最新バージョンではRPA機能も加わりました。

富士通/GLOVIA

国内利用者数はベスト3です。大企業向けにGLOVIA SUMMIT、GLOVIA G2、中堅企業向けにGLOVIA iZ、中小企業向けにGLOVIA きららと3つのラインアップがあります。

2 ERP案件の種類

ERP案件は、Webの案件情報サイトで見ることができます。案件情報サイトで掲載されている案件が全てではありませんが、案件の傾向を掴むことはできます。

・パッケージ等の指定:
SAP、Oracleのようにパッケージを指定した募集が多いです。あるサイトのERP募集案件中、3割がSAPでした。他には、Oracle、MS D365などが見られました(2022年8月時点)。

・求められるスキル:
「基本設計から詳細設計の経験」「Java又はPL/SQLでの開発経験」「購買管理に対する知見」「生産管理システム開発の経験、もしくはSCMシステム開発の経験」「中~大規模プロジェクトにおける要件定義経験2年以上」といった形で、求められるスキルについては具体的な表記があります。なかには「ビジネスレベルの英語力」や、ストレートに「SAPのモジュールコンサル経験3年以上」というものもあります

・期間:
千差万別ですが、一般的には、中小企業におけるERP導入期間は3ヶ月~9ヶ月程度です。予算が億円の規模の場合には、12ヶ月〜19ヶ月、2年、3年掛けてプロジェクトを実施することもあります。

3 ERP案件の単価相場

ERP案件の月間報酬はどのような額なのでしょう。実務の経験によって報酬は変わります。以下、一般的な例として紹介します。

・ERP導入の経験あり
保守作業:70万円~100万円
設計作業:100万円~130万円
開発作業:80万円~100万円
コンサルタント業務:130万円~200万円
PMO:130万円~200万円 
という例もあります。
英語力があると、さらなる報酬アップを目指せます。

PMOとは、Project Management Officeの略で、案件内のプロジェクト管理を俯瞰的、チーム横断的に行う、プロジェクト管理チームを指します。募集要項ではPMO経験の有無が確認されることが多いです。

4 ERP案件に求められるスキル

求められるスキルや経験、資格は?

ERP案件を獲得するには、ERPパッケージの知識、課題解決ができるコンサルティング力、企業の業務を分析できる柔軟な理解力などが挙げられます。必要な経験としては、ERPパッケージの選定、要件定義、設計、開発、テスト、運用・保守などの内、せめて1つは欲しいところです。

4.1. ERPシステムの知識と経験

ERPシステムの種類や特徴、機能や仕様、導入や運用の方法などを理解し、実践できる能力が必要です。ERPシステムは多種多様なので、自分が関わるシステムについて詳しく学ぶことが大切です。

4.2. ビジネスプロセスの理解と分析

ERPシステムは、企業のビジネスプロセスに合わせてカスタマイズされます。そのため、クライアントの業務内容や目的、課題や要望などを把握し、最適なソリューションを提案できる能力が必要です。ビジネスプロセスを効率化や改善するためには、現状分析や要件定義、設計やテストなどの工程を適切に行うことが重要です。

4.3. コミュニケーションスキル

ERP案件は、多くの人や組織と関わることになります。クライアントやユーザー、システム開発者やベンダーなどと円滑にコミュニケーションを取り、情報共有や調整を行うことが必要です。また、チーム内で協力し合い、互いにサポートすることも大切です。コミュニケーションと協調は、プロジェクトの成功に欠かせないスキルです。

4.4. 語学力

ERP案件では、国内外のクライアントやベンダーとのコミュニケーションが必要になることが多いため、語学力が求められます。特に、英語はビジネスの共通語として広く使われているので、英語での会話やメール、ドキュメントの読み書きができることが望ましいです。

5 ERPそのもの、加えてその市場の将来性

いろいろな調査機関によれば、ここ数年ERPパッケージは、前年比5~15%の範囲で右肩上がりが続いています。大きな変化といえば、オンプレミスからクラウドへの移行といった変化が挙げられます。基本的には順調に「成長」していると言えます。今後も、このままの姿で成長が続くのでしょうか。いろいろな意見や市場動向を調べてみましょう。

5.1. ERPの将来。一体型から機能の組み合わせ型へ

ERPパッケージは、1992年の「SAP R/3」が最初と言われています(それまでの、R/1は会計ソフト、R/2はビジネスアプリケーションという位置付け)。それ以降、企業運営の判断に使われるソフトウェアは1つの「パッケージ」として成長してきました。

しかしインターネットが世界的なインフラに成長した今、著名な米国の調査会社Gartnerは「ポストモダンERP」という提案を行いました。従来のERPパッケージがカバーする広範囲な業務を分解して、具体的にはSaaSを含む複数の業務アプリケーションとERPを相互連携するという方法が次世代(ポストモダン)のERPの活用だと提唱しました。

今までのように、1つのERPで全てを解決するのではなく、いろいろなソリューションを連携させるべきだというものです。確かにSaaSの一般化、アプリケーションの内製化などの流れを考えると、1つの大きな塊で全てをこなすのは無駄が多く、変化に弱いと想像できます。そのため、基幹システム+αのソリューションとして、各領域で業界トップ2,3程度の製品名および製品概要程度の知識は持っておき、お客様環境に応じたソリューションを提案できる準備をしておくことも重要と思われます。

ただ、中小企業が利用しやすい、パブリッククラウドを利用したSaaS型ERPが増えてくるのは確実です。こうした状況は理解しておきましょう。それでも現場のERPコンサルタントの主戦場である大型のERPの場合、日本はカスタマイズを好むので、従来パッケージをプライベートクラウドで利用する状況は、まだまだ続きそうです。

5.2. ERP市場の動向。オンプレ、クラウドに関わらず右肩上がり

ERPは、オンプレミス、IaaS(パッケージをプライベートクラウドで利用)、SaaSの3つの形態がありますが、この3つを合計した全体は、2021年から2025年まで毎年前年比約10%という高い伸び率が予想されています。合計額は、2021年の1,409億円から2025年は2,130億円になると言われています(ITR、ERP市場2022調査より)。毎年10%という伸び率は、好調と言っても過言ではありません。

ただ3つの形態のうち、オンプレミスは毎年比率が落ちています。2019年の43%から2025年には8%になると言われています。変わりに伸びているのがSaaS型です。こちらは2021年から2025年まで、毎年前年比約20~25%という高い伸び率が予想されています。こちらは「絶好調」と言えるでしょう。

IaaS型も右肩上がりです。こちらは2021年から2023年まで、前年比10~20%という伸び率で、2024年は7%、2025年は3%と落ち着いてくると予想されています。

5.3. 中小企業向けのERPが増えている

年商5億円未満の中小企業におけるERPパッケージの売上を見てみると、2020年度は前年比23.3%増の324.6億円でした(デロイト トーマツ ミック研、2021年発表)。ここはほとんどSaaS型のERPが占めています。SaaS型は初期投資が少なくてすむことから、中小企業がSaaS型ERPを導入する傾向は今後も続くと予想されています。

またERPほど規模は大きくありませんが、経費精算や人事情報管理といった分野でもSaaS型の利用が進んでいて、企業運営にどんどんデジタル手法が取り込まれていることがわかります。

5.4. ERP案件の将来を考察する。SaaSの運用や保守のスキルが重要に

ERP市場は2025年まで右肩あがりで好調、SaaS型は前年比20%近い増加で絶好調、中小企業のERP導入も増えそうという背景を考慮すると、フリーランス向けのERP案件は、増えることあっても減ることはないと言えるでしょう。

特にSaaS型は、サーバーなど初期の設備投資がいらないので、設備のためにSIerに頼む必要がなく、フットワークの良いフリーランスにも声がかかる可能性は高まると想像されます。もちろん上場企業のERP導入といった案件の方が、単価も高く、期間も長いので落ち着いて取り組めますが、そのような好案件ばかり獲得できるとは限りません。

実は、SAPなどのフリーランスERPコンサルタントの弱点は、1ヶ月や数週間といった軽い案件が少なかったという点です。病気でも抱えてしまうと、毎日、長期に案件に関わるのは難しくなります。そんなとき、比較的負担が少なく、1ヶ月程度で終われる中小向けのSaaS型ERP案件はありがたい存在と言えます。できれば、コンパクトな案件に対応できるように、SaaSやクラウドの知識も備えておきましょう。逆に中小企業は業務分析の経験は薄いので、そこのフォローも担当できれば、上場企業案件に見劣りしない報酬も不可能ではありません

6 より良いEPR案件を目指すなら、目利きの案件紹介サービスを活用すべし

より良いEPR案件を目指すなら、目利きの案件紹介サービスを活用すべし

フリーランスを長く続ける場合は、できるだけ「受けたことで自分のスキルが磨かれる」案件を選ぶほうが、最終的に良い結果を産みます。ただ、どうしても案件の金額に目は行きがち。特別な事情がない限り、そこはグっと堪えて、自分が成長できるかを考えましょう。以下にフリーランスが案件に出会うための手法とその良し悪しを紹介します。

6.1. 知り合いや会社の紹介

これは、以前勤めていた会社の同僚の紹介であったり、過去に付き合いがあった会社からの声がけなどを意味します。過去の付き合いから生まれた出会いですから、信頼という意味では問題ないでしょう。とんでもなく割が合わないということも考えにくいです。

しかし、その案件内容が、自分の能力に合っているか、自分のスキルアップに役立つかまでは判断してくれません。そこは自分で相手と話し合って、判断する必要があります。また、報酬も自己交渉です。実際の案件着手まではいろいろな手間があります。なお契約書は、絶対に締結してください。口約束はいけません。契約書締結の経験がなければ、お金を払ってでも知識を得てください。

6.2. 案件紹介サイトから

ERP案件を紹介するサイト経由で申し込むことを意味します。一番手軽ですが、手軽ゆえに「あまり当てにならない」という面もあります。こうしたサイトの営業担当者は、人材紹介の面ではプロかもしれませんが、ERP、SAP、Oracleといった経験や知識は「ない」場合も多いです。そのため、あなたが希望する案件を探し出す能力は、ほとんどありません。あるのは、人材が欲しいという企業のレジュメだけです。

それでも企業からの募集情報は集まってきますから、案件はそれなりの数あります。後はあなたの眼力で、数ある案件から選ぶという方法もあります。

6.3. 案件紹介サービスを利用

他には、案件紹介サービスに登録し、エージェントに案件を提案してもらう方法があります。現実的には、これが一番良い方法だと思われます。案件紹介に関する手数料は発生しますが、その分、要望にマッチした案件を選択してくれますし、そもそもエージェントは、案件が無事に達成できることを目指しているので、対応できない案件を提案はしないでしょう。

案件紹介サービスでは、案件の総数は多くはありませんが、その分求人希望の企業と密接に情報交換し、その企業のニーズをしっかり把握しています。あなたの希望やスキルアップに役立つ案件とのマッチングを十二分に考慮できます。

PROJECT FINDERは、現役のERPコンサルタントが案件を選定、紹介してくれるので、あなたの技術面と経験にマッチした案件が期待できます。登録すると、いろいろヒアリングなどの手間はあるでしょうが、その手間をかける価値はあります。案件を通じて自分のスキル成長を目指したいなら、案件選択はPROJECT FINDERにまかせて、現場でコンサルタントとしての道を究めることを選んでみてはどうでしょうか。

IT系編集記者・経営者 森 英信

就職情報誌や Mac雑誌の編集業務、モバイルコンテンツ制作会社勤務を経て、2005年に編集プロダクション業務、スマートフォンアプリや Webシステムの開発事業を展開する会社・アンジーを創業。 編集プロダクション業務においては、エンタープライズIT・HR関連記事の企画・編集・取材・執筆・翻訳(英語→日本語)など業務を担当。デジタルコンテンツ事業については、プロデュースやディレクション面を担当。

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