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近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)が注目されており、DXコンサルタントに対するニーズが高まっています。しかし、DXコンサルタントの具体的な役割や、コンサルタントが請け負う案件の中身などについて、詳しく知らない人はきっと多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、DXコンサルタントの役割や求められるスキル、将来性、また具体的な案件の例を紹介します。この記事を読めば、DXコンサルタントの概要はもちろんのこと、DXコンサルタントとして活動するイメージ、さらに自身に合った最適なキャリアプランの描き方などが分かるでしょう。
1 DXコンサルタントとは
そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは、アナログで行なっている業務をデジタル化(デジタライゼーション)した上で、それを効率化・オートメーション化することを指します。
単なるデジタル化やシステム導入に留まらず、人手がかかっている作業や難易度の高い課題など事業におけるボトルネックを解消することで、企業活動に大きな変革をもたらすことが期待されています。国内における人手不足や海外企業との競争激化などによって事業環境が厳しくなるなか、従来のアプローチを抜本的に見直す手段として、DXへの期待が高まっているのです。
そしてDXコンサルタントは、DXを通して事業活動の変革を図る企業に対し、専門的な知識・経験によって外部から計画の立案や推進をサポートします。IoT(Internet of Things)やAI(人工知能)などの先端技術を活用することで経営課題の解決を図るため、DXコンサルタントはデジタル・経営の両面に精通する必要があります。
1-1 DXコンサルタントが求められる背景

近年、DXコンサルタントの需要が高まっている理由としては、以下の2つが挙げられます。
・企業のDX推進には外部からのサポートが不可欠である
・政府の後押しによってDXに取り組む企業が増えている
専門的な知識・経験に乏しい組織が、自力でDXプロジェクトを推進するのは簡単ではありません。具体的には、以下のような課題に直面するでしょう。
・デジタル技術を経営に活かしきれない
・全社的な新システムへの移行が難しい
・DXによる目標設定や効果測定が難しい
企業がマーケットで生き残るには、デジタル技術を活用した競争の優位化はもはや不可欠です。そのため、DXの推進という方向性は間違っていないでしょう。
しかし、最新技術を駆使したシステムをうまく活用するのは容易ではありません。ベースとなる基幹システムに対して、以下のツールなどを用いてデジタル化・オートメーション化を図り、競争力を高める必要があります。
・営業部門をサポートするSFA(Sales Force Automation)
・顧客管理を行なうCRM(Customer Relationship Management)
・マーケティング活動を自動化するMA(Marketing Automation)
・機械による自動化を図るRPA(Robotic Process Automation)
・プロセスの可視化・分析し、課題の特定・解決に導くプロセスマイニング (Process Mining)
・機械学習による自動化・高度化を図るAI(Artificial Intelligence)
上記のようなツールを活用し、DXによる改善を具体的な数値に落とし込んだ上で、最大限の効果を引き出すには外部からのサポートが欠かせません。
また、日本政府としても経済産業省や総務省などが中心となって企業のDX化を推進しています。政府によるDX関連のガイドライン整備や補助金などの支援が後押しとなり、DXの実現を図る企業は増えています。そしてDXプロジェクトの推進には、多くの企業において外部コンサルタントによるサポートが不可欠です。
このような背景から、DXコンサルタントに対する需要が高まっているのです。
1-2 経営コンサルタントとの違い
DXコンサルタントと経営コンサルタントの違いは、コンサルティングの対象領域にあります。DXコンサルタントはDX領域に特化して事業活動の変革をサポートする一方、経営コンサルタントは経営課題全般の解決をサポートします。
DXの目的も経営課題の解決であることから、経営コンサルタントのうち、DX領域に特化したのがDXコンサルタントだといえるでしょう。単にシステムを導入するだけではなく、それによって経営にどのような改善をもたらすのか、デジタルと経営双方の観点で事業活動をサポートする必要があります。
1-3 ITコンサルタントとの違い
DXコンサルタントとITコンサルタントの違いは、コンサルティングによって目指すゴールにあります。
ITコンサルタントは、システム開発やITツールの導入による業務改善を通じた「既存事業の課題解決」を主なゴールとします。一方、DXコンサルタントは同じくITなどのデジタル技術を専門としながらも、既存事業の課題解決に加えて組織構造や企業風土に根本的な変革をもたらす「新たな価値の創出」を目指す仕事です。機械学習やビッグデータの活用などにより、他社との差別化を図る新たな一手が求められているといえるでしょう。
DXコンサルにおいては、経営や事業といったより俯瞰的な視点で企業に新たな価値をもたらすためのサポートが重要となります。
2 DXコンサルタントの業務内容・役割
DXコンサルタントの具体的な仕事の内容や役割には、「デジタル技術を活用した新規事業の立案」や「既存システムの見直し」、「DX人材の開発や、組織構築」など以下のような内容が挙げられます。
・デジタル技術活用による新規事業の立案
・既存システムの見直しによる業務効率化
・DX対応に向けた組織構築や人材教育
手動で行なっていた作業やプロセスをデジタル化するだけなら、パッケージ化されたシステムを導入すればよいため、そこまで難易度が高いわけではありません。DXにおいて重要なのは、揃えたデータを活用するための仕組みづくり・組織づくりです。
DXの知見がなければ、どれだけシステムを整えようと新規事業立案や業務の効率化、効果的な組織改革にはつなげられません。DXコンサルタントには、過去の成功事例を基にデジタル技術の観点で最適な仕組み・組織のあり方を提言する役割が求められます。
3 DXコンサルタントに求められるスキル

需要が高まるDXコンサルタントですが、もちろん簡単に仕事を請けられるわけではありません。先端技術を駆使して会社経営の改革に貢献するには、多様な経験・スキルが求められます。
有能なDXコンサルタントを求める企業は多いことから、経験やスキルさえあれば、フリーランスのコンサルタントとして自由に働きながら高収入を得ることも可能です。ここでは、DXコンサルタントとして具体的に求められるスキルや資格について解説します。
3-1 求められるスキル・知識
DXコンサルタントとして活躍するには、以下のようなスキルや知識が必要です。
・経営コンサルタントとしての分析力、計画立案力、リーダーシップ
・IoTやAIを用いたDX推進に関する知見
・DX化を円滑に進行するためのコミュニケーション力
DXコンサルタントは経営コンサルタントの一種であるため、企業概況の分析や課題設定のスキルに加え、課題を解決するためのリーダーシップが求められます。またデジタル領域で的確な提言をするためには、IoTやAIに関する豊富な知見も欠かせません。
さらにDXの推進で重要なのが、既存システムからの変更に対する社内の調整です。すでに使用しているシステムに慣れ親しんだ部署・社員からは大規模なシステム改革に反発する意見が挙がりやすいため、DXを担当する部署と一緒になって調整するためのコミュニケーション力が大切になります。
上記の通り、企業のDXを実現するため、DXコンサルタントには幅広い対応力が求められます。未経験で案件を請けられることは少ないでしょう。
3-2 資格は必要?
DXコンサルタントは、仕事を請けるために必要な資格はありません。応募条件として資格が記載されていることもほとんどないでしょう。資格よりも、DXに関する過去の経験や知識を重視した求人が多い傾向があります。
DXに関連する資格としては、スコア別にレベル認定のある「DX検定」が存在します。しかし、現役のDXコンサルタントで保有している人はあまり多くないのが実態です。
資格取得よりも、DXコンサルタントとしての知識・経験を増やすなど強みに磨きをかけるほうがキャリアアップにはつながりやすいでしょう。
4 DXコンサルタントの年収
デジタル技術の発展や政府によるDX化の推進により、DXコンサルタントの需要はますます高まることが予想されます。
しかし、コンサルティングファームに所属する場合、その他のコンサルタントと収入は大きく変わらないでしょう。平均の報酬(年間)は500万円~1,000万円程度と幅広く、スキル次第ではさらに高くなる可能性もあります。
フリーランスのコンサルタントとして仕事を請ける場合、月70万円~200万円前後の報酬が相場となっています。平均の報酬(年間)は、1,000万円前後からスキル次第では1,500万円や2,000万円といったレベルの収入を得ることも不可能ではありません。また、フリーランスなら自分が希望するプロジェクト内容や勤務形態を選べるというメリットもあります。
5 DXコンサルタントの将来性
DXコンサルタントの将来性は非常に高いと言えます。なぜなら、デジタル変革により、多くの企業がDXに取り組む必要性を感じているからです。
デジタル変革とは、ITやAIなどの技術を活用して、ビジネスやサービスの価値を高めることです。
DXコンサルタントは、デジタル変革を推進するために、企業や組織の課題を分析し、最適なソリューションを提案したり、実行したりする専門家です。DXコンサルタントは、様々な業界や分野において、デジタル変革のニーズが高まっているため、需要が増えています。
また、DXコンサルタントは、技術だけでなく、ビジネスやマネジメントの知識やスキルも必要とされるため、高い付加価値を持っています。
6 DXコンサルタント関連案件の種類・求人例

フリーコンサルタント向けの案件紹介サービス「PROJECT FINDER」では、SAPやRPAなどのシステム導入支援、業務改革、開発支援、PMOなどの案件を扱っています。そして、最近ではDX関連案件の取扱いも増えてきました。
ここでは、PROJECT FINDERで扱うフリーランス向けの具体的なDX関連案件の例を3つ紹介します。
6-1 例1:大手SIerにおけるシステムデザイン構築・IT戦略策定
大手SIerにおいて、クライアント要件に応じたシステムグランドデザインの構築やIT戦略の策定など、上流工程を支援する案件です。
・契約期間:1年以上
・報酬:~200万円/月
必要なスキルとしては、クラウドやインフラなどITに関する基本的な知識に加え、システムの要件定義、プロジェクトマネジメント、ドキュメンテーションなどの能力が求められています。
また必要な経験の一例として、大規模なシステム導入のPMO業務、システム環境に関するTo-be像策定、BCP策定、ITガバナンス整備などの業務が挙げられています。
6-2 例2:製造業向けのERP刷新支援
大手製造業において、既存ERP(oracle・SAPの統合システム)をD365に刷新するプロジェクトに要件定義フェーズから参画する案件です。
・契約期間:1年以上
・報酬:~200万円/月
パッケージの種類は問わないものの、ERP会計領域のコンサル経験が必須とされています。
6-3 例3:製造業への経営管理高度化支援
製造業において全社的なシステム刷新とそれに伴う経営管理の高度化を支援する案件です。
・契約期間:半年~1年未満
・報酬:120万円~150万円/月
必要なスキルとしては、論理的思考力やドキュメンテーション力に加え、業務やシステムに関する知識、システムデータ構造の理解などが挙げられています。システムの観点で業務改革や業務効率化を推進するための知識・経験が求められているといえるでしょう。
以上、3つのDX関連案件を紹介しました。いずれもDXの領域において専門的な知識・経験が求められる案件ですが、そのぶん報酬面も月120万円~200万円と高額です。DX関連案件は種類や件数も増えているため、フリーのコンサルタントとして高収入が得やすい職種だといえるでしょう。
7 DXコンサルタントとして活躍するには
DXは、AIやIoTの技術を駆使して業務を効率化・オートメーション化し、人の介在を減らす取り組みです。企業によるDX化は、AIやIoTの進化、政府による後押しによって今後もますます推進されるでしょう。
そして、DX領域で専門的な知見を有するDXコンサルタントへの需要はさらに高まるはずです。フリーランスとしての案件もすでに多く存在するため、自由に働きながら高収入を得られる将来性のある職業だといえます。
フリーコンサルタント向けの案件紹介サービスであるPROJECT FINDERでは、現場の状況をよく理解している現役コンサルタントが案件紹介を担当しています。DX関連案件も増えているため、まずは気軽に相談してください。
山本 嘉之
大学卒業後、食品メーカーにて海外向けの販売・マーケティングおよび海外子会社の戦略策定・事業管理に従事。
現在は、Webメディア向けコンテンツ作成をメインとするフリーランスのライター、ディレクターおよびマーケターとして活動。DX・AI関連などさまざまなジャンルにおいて、コラム記事の作成やWebマーケティングの戦略構築・運用を担当している。
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